不登校児ママの発達相談外来

発達障害や不登校の子供たちを診療している小児科医です。わが子も発達障害&不登校で日々格闘中。

描画法

賞味期限

以前、心理士さんからお勧めしてもらい読んだ心理学の本、久しぶりに読み返していたら、びっくりすることが書いてあった



芸術療法を一人の患者に適用できる期間はおよそ2年なのだとか


スクイグル法などはもっと寿命が短いと。。。


筆者は、精神医学(精神分析学)の巨匠、中井久夫先生の言葉としてそう述べている。


さらに、有意味の面接の回数は、一組の治療者ー患者に対して有限なのだろうとも書いてある


1回のやりとりが、まさしく一期一会のセッションなのだと。


確かに、私自身の診察を思い返してみて、スクイグルを導入できたとしても長く続けられることはほとんどない。


ただ、それはスクイグルにかけられるエネルギーや洞察力など私自身の問題だと思っていた。


それが、スクイグルなど芸術療法自体に賞味期限のようなものがあるとは驚きだったな


IMG_3342


子供との貴重な診察時間、もっと有意義なものになるように、頑張らないと

バウムテスト ⑬ ~空間象徴 ③~

「空間象徴」の基礎となる3つのうちの最後は「置きテスト」








横長の紙を被験者の前に置き、紙が人生だとして、自分は今どこにいるのか、これからどこに向かうのかを問う。


そうすると、被験者の大部分が、左下から右上に向かう線となり、これが「人生線」となるそうだ


まとめると。。。


グリュンヴァルドの空間象徴は3つの層がある。


「十字象徴図式」は木の「エネルギー領域」を理解する目安で、木の右側が左側より大きいなど、領域の割合をみることで、こころを推測する。


「置きテスト」は「運動領域」を理解する目安で、どこからどちらに向かってこの木が伸びていくのかをみる。


「村落テスト」は「空間感覚領域」を理解する目安で、用紙のどの部分に木を置くかで用紙の各エリアの意味から解釈する。


深いなぁ。。。バウムテストの理論、知れば知るほどその奥の深さに圧倒される


解説本には、例えば物理学で、重力を考える時には力学理論、ナノの次元では量子理論、もう一つが電子力学というように、物理学者は重力野、電磁野、量子野とそれぞれ違う理論でみていると書いてあった。

IMG_3171


確かに、どういうふうに物事を見ていくのかという視点では、それが物質であっても精神であっても、多面的、多層性であるということなのかな


物理や数学などの世界には全く興味がわかなかったけど、精神の世界、こころの世界の多層性には強く心を惹かれる


この世界を知ることができて、良かったなぁと思う


バウムテスト ⑬ ~空間象徴 ②~

「空間象徴」の基礎となる3つのうち、もう1つの見方は、「村落テスト」というものをベースにしている





特定の意味にふさわしい領域がどこなのかということが心理学的な実験で明らかになっている。


そして、このような図式ができあがった。


FullSizeRender


左の領域が過去、内面化、情動性をあらわし、右の領域が未来、外面化、社会化をあらわす


上は精神性、下は物質主義、そして斜めそれぞれにも意味がある。



上下左右は反対の意味になっていて理解できるのだけど。。。


斜めの対極の意味がよくわからない


斜め左上が「郷愁」で、反対の右下は「欲求」・・?


斜め左下は「葛藤」で、右上は「構想」・・?



あ、別にこれは対になっているわけではなく、「過去」×「精神性」→「郷愁」であり、それぞれの反対極は対の意味にはならなかったということかな・・?


同じように、「精神性」×「外面化」→「構想」


「内面化」×「物質主義」→「葛藤」


「外面化」×「物質主義」→「欲求」


こう考えるとそれぞれの意味が理解できる


つきつめていくと、領域に与えられる意味が「なぜこうなるのか」理屈はわからないけど、それは「太陽はなぜ東からのぼる」と同じ、「そうだから」としか言えないのだろうな。。。

IMG_3104


人間の、個人を超えた、いわゆる「普遍的無意識」があるのと同じことなのかな。





(続く)

バウムテスト ⑬ ~空間象徴 ①~

バウムテストで、「幹下縁立」を掘り下げていくと、「空間象徴」への理解が大切だと気付かされた








これまで、どのバウムテストの本を読んでいても、難しくて理解できず、読み飛ばしていたところ。。。


でも、やっぱりここをすっとばすわけにはいかないのだな


頑張って、私なりに少しずつ理解できた(はず⁉)のことを、書き留めたい


でも、「メビウスの木」の時のように、誤解していたり、理解不十分な記述も出てしまうのかも。(適宜気付いた時点で訂正します!)









木(バウム)が、紙面のどこにどのうように描かれているかから、心理的な解釈をするために、「グリュンヴァルドの空間図式」が紹介されている。


FullSizeRender


これまではただこの図を参考には考えていたけど、理論が全然理解できていなかったこと&情報量が多すぎることから、直感的にわかる「紙面の左側が過去、中心が現在で右が未来」と「紙面の下部が無意識て、上部が意識」というところだけ解釈に取り入れていた


本当は、もっと奥が深い。。。


まず、空間図式のもととなる考え方が3つある


一つは「十字図式」、それから、上下左右の分け方。


十字は、木の形態とも人間の形態とも重なる、あるいは精神と肉体、感覚的なものと精神的なもの、両義性のあるものをつなぐ、内包すると考えらる


IMG_3098


そうして上下左右が象徴しているものを考えていった場合、例えば「右手の文化」では、字の始原は左側で右側が到達点になることなどから時間的に左が過去、右が未来となるのも理解できる。


(続く)

バウムテスト ⑫ ~幹下縁立 ②~

「幹下縁立」について、自分なりに調べたり、考えたりしているところ。。。





バウムテストの対象を大人にも広げた場合、幹下縁立は、不安・不安定感を示していたり、抑うつ気分を表したりしやすいと考えられているようだ



筆者は、地面のラインの位置により、一定の傾向を考えられると述べている。


幹の根元に自然に描かれた地面のラインは、①現実を適切に処理し、②精神が安定し、③衝動を統制している ことを表している


幹の根元より高い位置に描く意味は、①現実を理論よりも感情で処理したり、②自分の希望の実現が遠くにあると感じ、それを憧れていたり、③現実環境に支配され自分は受動的かつ消極的であると思っていることが多い、ということらしい。


さらに、地面のラインが幹の根元より低い場合、あるいは根も地面もラインも無い木は、①現実を離れ宙に浮いているような不安定感、②拠り所のない不安や自信の欠如、③無意識の衝動の処理の困難さを表している、と


木そのものは自己の投影と考えると、地面のラインは、自分を支えているはずのもの(環境や自己肯定感など)に対する感じ方が表れるのかな・・?


コッホの本の解説本にも、「どこから起始するか」というテーマがあると書かれてある。


そして、内的な不安定性とそれを惹起する不安定な関係性を表す関数なのだと。。。



ということは、幹下縁立が高校生年代までは早期型とは考えられないほどよく見かける指標となっている、日本の子供たちは他国の子供たちに比べて内的な不安定性が高い傾向にある、とも考えられるのかな。。。?


IMG_3094


そうやって結びつけるのは、やりすぎなのかな・・?


ギャラリー
  • まおの悲しみ ②
  • 表裏一体
  • ペアレントトレーニング ⑤ ~無視は難しい ③~ 
  • 心理評価の結果説明 ~我が家の場合 ④~
  • WISC-Ⅴ ② ~新しい指標について~
  • 自分じゃないとうまくいく?
  • 迷うなら支援を ~ドルジの場合~
  • ペアレントトレーニング ⑤ ~無視は難しい ②~
  • まおの悲しみ ①