不登校児ママの発達相談外来

発達障害や不登校の子供たちを診療している小児科医です。わが子も発達障害&不登校で日々格闘中。

認知の特徴について

観察力の有無

私が担っている発達相談外来は、どこの病院でも完全予約制


そして、初診の予約は基本的にはナースやソーシャルワーカーにお任せ。


初診予約依頼の連絡がきたら、スタッフは相談内容を確認した上で、どのドクターに依頼するのか検討した上で予約を入れる


私は、スタッフのドクター観察力、分析力は本当にすごいなぁと思う。


ちゃんと、どのドクターがどういう分野、どういう患者さんの診療が得意(!)でどういう患者さんが苦手なのかを把握した上で予約を入れてくれる


ちなみに、私は身体症状が中心の心身症、観察力が必要な乳児や脳性麻痺児の診察より、こころが中心、どちらかというと洞察力の必要性が相対的に増す幼児期以降の子供たちの診察の方が得意


だから、私の患者さんは、小児科の中では年齢層が高めの子供たちが多くなる。


でも、まれ~に、いろいろな要因が重なり、赤ちゃんの初診が回ってくることもある。


1歳前、乳児期に発達相談外来を受診するのは、NICU入院歴のある子供や、健診などで発達の遅れを指摘された子供たちがほとんど。


その子たちの中には、発達の遅れをきたす原疾患がまだ判明していないこともある(一般的な染色体検査や頭部MRIなどでは診断がついていない)から、顔貌や身体の特徴からまれな症候群などを見つけ出すのも私の仕事の範疇。


なのだけど。。。。


私には、これが全くできない

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顔貌の特徴(例えば両目が離れている、両目がつりあがっている、耳の位置が低いなどなど)を見ようとしてもさっぱりわからなくて、私がわかるのは「目が2つある」レベル


目の形や角度、両目のバランスなど、定規で測ればわかるかもしれないけど、診察でそんなことできないし、ただ見るだけではその微妙な違いを判別できない


私には、身体の表面を見るための観察力、分析力が決定的に欠けている





先日も久しぶりに原疾患がまだわからない1歳前の乳児の初診を担当したけど・・・


原疾患がわかるヒントとなるような顔貌特徴があるのかどうか、私には全くわからなかった。


わかったのは、かわいらしい赤ちゃんだということだけ


でも、こんな私にも、比較的よくわかることがある。


それは、子供たちが何を見て、何を聞いているのか、そして刺激にどんな反応をするかということ


診察室に入った瞬間、子供は何を見たか


診察室の外から聞こえた音にどんな反応を示すのか


私がかけた言葉にどうこたえるのか、どんな表情になるのか


子供たちの視線の走らせ方や音の拾い方、私に向ける注意の程度などは意識しなくても感じ取ることができる。


そういった、発達特性の程度を判断するための観察力だけ備わっているみたい


そこだけはちゃんとあって良かったなぁとは思う


でも、顔の特徴は判別できないから、なかなか子供の顔は覚えられず。。。


だから、診察前は、いつも自分が前回書いたカルテを読んで、イメージを作っておくのだけど、子供の動きは想像できるのに、顔はあいまい(のっぺらぼうに近い)


我ながら、面白い特性だと思う


やってしまった

私は、もともと、人の顔を覚えるのがとても苦手


たいていの場合、1回会って話したくらいでは覚えられない


ASD特性による興味の問題(よほどインパクトがないと、初対面で顔をインプットできない)、線の優位性(立体的なものの分析、記憶が悪い)からだと思っている





だから、名刺をいただけたら、あとで名刺にその方の特徴や話したことなどを書き加えて、自分なりに記憶にとどめようとすることもある


ただ、ほとんどの場合で名刺に顔写真がついているわけではないし、名刺をもらわないような出会いもたくさんあるしで、なかなか対処法が難しい。。。


つい最近も、やってしまった


精神科の先生方との合同の講演会で、よくお名前をお聞きする、まだ面識のない(と私が思っていた)児童精神科の先生にあいさつをした。


出来上がったばかりの名刺を持って、意気揚々と話しかけた私。。。


「〇〇先生、はじめまして。小児科のmidorimoiineと申します」と私が言うと、相手は


「こんにちは。私は、先生とお会いしたことありますよ。初めてではないですよ」と笑顔で言われた


あぁ!!!やってしまった!!!!


全然覚えていません。。。。ごめんなさい。。。。

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穴があったら入りたい気分。。。。


でも、さすが?児童精神科ドクター、その後も笑顔で、失礼なことをした私と会話をしてくれた


さすがに、この出来事はインパクトが大きいから、もうその先生とのエピソードは忘れることは無いと思う。


ただ、やはり先生の顔は数日たったら、もう思い出すことができない。。。。


自分の(顔の)記憶力の悪さにがっかりする


次の機会に、先生に気付かずスルーするなど、また失礼なことにならないといいのだけど。。。

色が見える

先日、最近仲良くなったママ友に、私が人の顔と名前や自分自身の経験を覚えておくことが苦手だという話をした。


そのママ友とは、実は私がまだ大学生の頃、バイト先で出会っていた


数か月だけ、一緒に働いていて、何人かでカラオケに行ったときも一緒だったとか。


そして、大人になって再会したわけだが。。。。

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私はママ友のことも、カラオケに行ったことも、何一つ覚えていない


ママ友も、すぐに私だとわかったわけではなく、ある日昔カラオケで歌った歌が耳に入ってきたとき、私とのエピソードがありありとよみがえってきたのだと。


その話を聞いたとき、私は半信半疑だったけど、ママ友は、当時の私を知る人しかわからないエピソードをいくつも覚えてて、本当にその頃に出会っていくつかの出来事を共有していたのだとわかった


こんなふうに、相手が覚えていて私が覚えていないという経験はたくさんある


夫と出かけた場所やエピソードも私より夫の方がずっとたくさん覚えているし、子供たちですら、私の忘れっぽさにあきれることもあるくらい。


人の顔と名前を覚えることは特に苦手で、よほど強い印象がなければ、1回自己紹介しあったくらいじゃ全く記憶に残らない


ママ友に、人の顔と名前の覚え方のコツを聞いてみたら。。。


彼女は、「名字(名前)には色がついている」と言う


それから、その人の人となりや雰囲気、外見にも色があるのだとか




だから、名字の色とその人自身の色がほぼ一致していると覚えやすいのだと。


たいていの場合で大きく両者が異なることはないから、出会ったことのある人やその人とのエピソードはなんとなく色と一緒に覚えているそうだ。


でも、時に名字の色とその人自身の色が異なることがあり、その場合はちょっと混乱して、記憶もあいまいになることが多いそう。


私には全くわからない世界だなぁ。。。。


私の色を聞いてみると、名字も雰囲気も緑だと


それを聞いて、私のオーラがエメラルドグリーンだと教えてくれたASD児を思い出した





2人とも、本当に色が見えているのだなぁ。。。


私にはこれからも色が見えることはないのだろうし、よほど印象に残ったこと以外は忘れてしまうのも変えられないだろうけど。。。


自分が見たもの、理解できたものしか信じられなかった昔に比べ、そういう世界がある、って納得できるようになったのは変化なのかもしれないな




継次処理 vs 同時処理 ②

継次処理優位か、同時処理優位か、まずは自分自身のタイプを知ることが大切




私自身は、以前に受けた心理評価や日常の様子からの自己判断で、言語優位、継次処理優位だと思っていた。






なぜなら、WISC-Ⅲでは言語理解>知覚統合だったし、「地図が読めない女」だったから。







でも、この本で挙げられてる例で判別すると、時計はアナログ派、スケジュールはカテゴリー別派、ナビは地図ナビ派で、すべて同時処理優位タイプになった。

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これは、自分で自覚できていなかったことだなぁ。。。


つまり、言葉で説明される方が理解しやすい、言語優位ではあるけど、認知処理スタイルは同時処理優位ということになるのかな?


ざっくり全体を見通しつつ、詳細を言葉で補うと理解しやすいということかな?


こんなふうに、自分自身のことだって、わからないことだらけなのに、子供の認知処理の特徴を理解してそれに合わせた関りをする、って本当に難しいことだとわかった


子供に関わる大人(親御さんにも学校の先生たちにも)には、やはりそのことをもっと知ってほしいなぁと思う


学び方、物事のとらえ方・認知の仕方にはそれぞれに異なった様式、方法があって、学校教育で取り入れられてる方法、自分にとってわかりやすい方法がどの子にとってもベストな方法とはならないことをもっと知ってほしい。


親子でも、きょうだいでも得意な認知スタイルは大きく異なることは、よくあること


ある程度以上の力があれば、多少の認知の凸凹は、得意で苦手をカバーできるから、それほど問題ではないかもしれない。


でも、凸凹が人一倍大きい場合、苦手なやり方ばかりで強制されると、頑張ってもむくわれなくて、やる気をなくしていってしまう。。。


著者が言っているように、もっと子供が得意な認知処理スタイルを生かした学校教育が実現するといいなぁ。。。






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今回のお花はかすみそう、スプレーバラ、ルスカス


スプレーバラの花言葉は、「温かい心」


久しぶりのバラ、嬉しいな


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継次処理 vs   同時処理 ①

言語優位か視覚優位かということと、継次処理優位か同時処理優位かとはイコールではないけれど、重なる部分は多い




言語優位だと継次処理優位なことが多いし、視覚優位だと同時処理優位なことが多い


最近読んだ本で、あらためて継次処理と同時処理について知った。


まず、読者である大人のための得意な認知処理スタイルの判別方法が、すごくわかりやすかった


筆者が例にあげたのは3つ


時計、スケジュール、ナビ


時計では、デジタル派かアナログ派か。


デジタル派の人は、具体的な数字で、順を追って表示される方がわかりやすい。


アナログ派の人は、長針のつくる形や文字盤との位置関係から、瞬間的にパット見て時間を感覚的に理解しやすい。


つまり、デジタル派が継次処理優位、アナログ派が同時処理優位になる


それから、スケジュール管理では、時系列派かカテゴリー別派かが判別方法。


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時系列派の人は、日付・時間で管理したり、やるべきことを順番に把握したりすることが得意。


カテゴリー別派の人は、1週間、1か月など全体の予定が見渡せることが重視される。


つまり、分類したり、週単位・月単位と言った全体で把握したりすることが得意。


時系列派が継次処理優位、カテゴリー別派の人が同時処理優位


最後に、ナビについて。


目的地まで行くためにナビでは音声・文字ナビ派と地図ナビ派に分かれる。


音声・文字ナビ派では、「まっすぐに言って、2番目の角を右に曲がって。。」という説明がわかりやすい。


地図を見て理解するより、順番に言葉で案内された方がわかりやすい。


地図ナビ派では、言葉の説明よりも、地図をみて現在地と目的地とルートを一度に把握できる方がわかりやすい。


この場合、音声・文字ナビ派が継次処理優位、地図ナビ派が同時処理優位


継次処理も同時処理もどちらもあまり差がない「バランスタイプ」の人もいるけど、そういう人でもどちらかといえば得意なほうがあるらしい


筆者は、こんなふうに、物事のわかり方(認知の仕方)には、得意(強い認知処理)・不得意(弱い認知処理)があることを知らないと、「自分(の強い認知処理)がスタンダードだ」と思い込んでいて、無意識のうちに、他者を自分のスタイルに合わせようとしていると言っている


私自身も、本当に筆者の言うとおりだなぁと実感している


(続く)



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実家の庭の小さな野花とイチジクの夏実

白い小さなお花、なんて名前なんだろう


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ギャラリー
  • まおの悲しみ ②
  • 表裏一体
  • ペアレントトレーニング ⑤ ~無視は難しい ③~ 
  • 心理評価の結果説明 ~我が家の場合 ④~
  • WISC-Ⅴ ② ~新しい指標について~
  • 自分じゃないとうまくいく?
  • 迷うなら支援を ~ドルジの場合~
  • ペアレントトレーニング ⑤ ~無視は難しい ②~
  • まおの悲しみ ①