不登校児ママの発達相談外来

発達障害や不登校の子供たちを診療している小児科医です。わが子も発達障害&不登校で日々格闘中。

負?の動機

期末テストも終わった補習期間、まおたち進学コースの生徒たちはいくつかの大学を見学するという研修旅行に出かけたのだが。。。


まおは、ぷりぷり超不機嫌で帰ってきた


事情を聞いてみると。。。


いつも一緒に行動している仲良し2人のうち1人が、事情がありあぶれてしまったクラスメートとずっと一緒に行動していてすごく寂しかったこと


もう1人の友達も、マイペースな行動が多くてまお1人で過ごす時間があって、ますます寂しくなったこと


女子8人班のみんなで過ごすと、人のうわさ話、特に恋愛話ばかりでうんざりしたこと


それでも気を使って話を合わせようとするけど、疎外感を感じて嫌な気持ちになったこと etc


もともと女子の団体行動が苦手なまおは、今回の研修旅行はとてもつらくてしんどいものになったようだ


「友達の嫌なところや自分の嫌なところばかり気になる2日間だった」と。。。


帰りの車の中で、まおは、話しながらぽろぽろ泣きながら悔しさや怒りを表現した。


そうだね。。。気持ちはよくわかる。


私も、1人1人とはどんなに良い関係が築けていたとしても、グループになった途端に自分の身の置き所が無いような気持ちになる


自己主張すると集団から浮いてしまう気がするし、普段は仲良しの友達に対して距離ができたようにも感じてしまう


自分らしくいられなくなり、落ち着かない


まおも同じだろうな。。。


それから、まおは友達の話題が恋愛と芸能人ばかりになるのもうんざりなようだ。


まおは、「私は、そんな話全然したくない。もっと漫画やアニメ、競馬や政治の話がしたいのに。


友達に政治の話ふっても、みんなきょとんとするの。どうしてみんな興味がないんだろう。。。


小学校の時、クラスメートと話すのは楽しかったな。小学校の方が、私と興味が共通する子が多かった気がする。。


時事ニュースをちゃんと見ている友達もいたよ。そういうことが普通に話せる友達が欲しい。


私、勉強頑張るわ。頑張って大学に行って、気の合う友達、話が合う友達を見つけたい」と言う。


1年生のころは優しいクラスメートたちに安心、感謝をしていたまおだけど、2年たってずいぶん心境がかわったのだなぁ。





今はずいぶん負の感情が強くなってしまったようだけど、それに押しつぶされずエネルギーにして前へ進んでいくたくましさがまおには見られるようになった

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山あり、谷ありだね。まお、頑張れ~


自己申告書

高専の合否がまだわからなかったころ、ドルジは公立高校の受験に向けて、「自己申告書」を書くように担任の先生から勧められていた


自己申告書については、耳にしたことはあったけど、実物を見たのは私も初めて。。。





調べてみたところ、自己申告書を書く対象は、自治体によって多少違いがあるようだ

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たいていの自治体では、内申書・内申点の低さ、欠席の多さを自分なりに説明、高校生活についての意欲などを書くものとなっているよう。


自己申告書の提出期限が高専の合格発表の翌日だったことから、文章を書くのが苦手なドルジ、高専の合格発表を待って書き出していたら間に合わなそうだったから、高専受験後翌日から、少しずつ私と一緒に下書きを書き始めた。


まずは、高校ではどのうように過ごしたいか、どんなことを学びたいか


「ドルジが高校に行きたい理由は?」と私が言うと、ドルジは


・勉強のため
・かしこくなれる
・大学に行ける
・給料が良くなる
・自分が知らないことを知ることができる


と、これだけあげることができた。ドルジらしい。。。


でも、中学校の欠席が多い理由はなかなか書けなかった


「学校に行きたくなかった。でも、理由を聞かれるとわからない」と言う


「強迫症状が辛かったんじゃない?」と私が聞くとドルジは








「そうだね。。。。一番ひどかったのは小学生のころ。


学校の床に座れなかったし、校舎の中にいるだけでも辛かった。


帰宅に1時間以上かかった(普通に歩けば10分程度)ときは、もうダメだと思った」と。


そうそう、それでいいんだよ


今言ったことを何とか書き言葉で、文章でつないでいけば良いんだよ


ドルジの口から、当時のことをちゃんとまとまって聞けたのは初めてな気がするなぁ。。。


少しずつ、自分のことが俯瞰的に見れるようになったということかな





ドルジにとって、自己申告書を書くのは大変な作業だったと思うけど、これもまた良い経験になったのじゃないかなぁと感じた

いつまで待つべき?

不登校児の診察では、親御さんに「家の居心地をよくしてください。そうすれば、絶対に動き出せるタイミングが出てきます」という話をすることが多い











でも、続けて「でも、動き出すタイミングは、大人が思うような、期待するタイミングじゃないことも多いです。


たいていの場合、大人が考えるよりもゆっくりのことが多いので、焦らないでくださいね」と伝えている


子供が家で穏やかに日々過ごし、元気になってきたら、次のステップに向けて、ほとんどの場合親御さんの方が先にうずうず動きたくなってくる。


新年度に向けて、受験に向けて、動き出して欲しいけど。。。いつまで見守ればよいのだろう・・?


そろそろ背中を押しても良いのじゃないだろうか?


いや、背中を押すというより、もっと積極的に引っ張った方がいい・・?


そんな疑問や不安を話される親御さんに、時々P先生のブログをお勧めすることもあるのだけど・・・


最近、そんな親御さんから


「P先生のブログでも、『待ちましょう』と書いてあったり、『本人が動かないのなら、周囲が機会を作り、押し付けるしかない』と書いてあったり。





結局、その子次第、特性次第なんだな、と。。。


じゃあ、今、この子にはどうしてやったら良いのでしょう?


まだ待つべきなのか、押していいのか、わからなくなります」と言われた。


そうだよね。。。わからなくなるよね。。。


この親御さんに限らず、みんな、少しでも我が子のために、我が子の将来のために、何かできることはないのか日々考えておられるし、自分にできることがないのか、常に模索しておられる。


その一つの手段として病院に通院されているのだとも思う


外来で、そんな親御さんたちと話し合うわけだけど。。。


でも、やっぱり、親御さんが子供に働きかけるタイミングや設定するハードルは、子供自身が動けるタイミングより早いと感じることが多いし、ハードルもやや高いと感じることが多いかな


だから、「いつまで待つべき?」と聞かれたら、「本人のお尻に火が付くまで」と答えることもある。





そして、火をつけるのは子供自身であって、親御さんではないということも。。。

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う~ん・・・・「待つ」って、本当に難しいなぁ。。。


ギャラリー
  • 負?の動機
  • 自己申告書
  • いつまで待つべき?
  • お薬について ~インチュニブ(グアンファシン)⑨~
  • 大人のADHD ①
  • 義務教育の目標?
  • 診断を伝えるタイミング ~子供本人に ②~
  • 逃げる ②
  • 精神科医に近い小児科医?